どうぶつリップ
手を離しても飛んでいかない紙製クリップができあがる迄には長い道のりがありました。
■どうぶつクリップを開発しようとしたきっかけは何ですか?
現場で風船を配布していると、お子さんの笑顔と歓声で満たされたはずの空間で、突然泣き声が響き渡る時があるんです。
小さな子が誤って風船から手を離してしまい、『飛んでいっちゃった』・・・て。
これを見て何とかできないかなぁ・・・と思ったのが始まりですね。
■今では普通に使われていますが、当時ウエイト(風船用のおもり)はなかったのですか?
右:糸付きクリップ
左:糸付きバルブ
その当時、プラスチック製の糸付クリップと糸付バルブが主流で、手を離しても飛んでいかないように、糸の先に輪ゴムやウエイトを付けたりすることはありました。このサービスはお客様に非常に喜ばれたものの、配布側としてはコストと手間がかかり、このサービスを継続することが困難となりました。そこで留め具の機能とウエイトの機能を兼ね備えたクリップができないか?と試行錯誤が始まったんです。
■0からの開発・・・になったようですが、何から取りかかったのですか?
材質です。極力環境に優しい素材を使いたいと思い、材質は再生紙と綿糸を使うことですぐに決まりました。次は留め具とウエイト機能を兼ね備えた形状です。厚紙を切っては風船を引掛けて飛ばす実験を重ねた結果、二つの機能を搭載できるクリップのプロトタイプができたんです。
■それがエコクリップなのですね?
旧エコクリップ
そうです。1枚の板紙にミシン目を入れ、二つに折ると留め具とウエイトになるようにしました。一番初めに市場に出したエコクリップは、再生紙100%で綿糸を使い、怪我をしないように角には全てR加工を施し、これでお客様にきっと喜んで頂ける!!と思いました。満を持してご紹介をしたんです。
■一つで二役、さらに環境対応だなんて、
すごく喜んで頂けたんじゃないですか?
はいっ・・・確かに一部のお客様は歓迎してくれたんですが、思ったほど反応がありませんでした。 それは、そもそも全てのお客様がウエイトを必要としていなかったからです。そこで、暫くはこのエコクリップの良さをもっと紹介していくことに時間をかけました。
■その後どうなったんですか?
商品紹介を続けていると、試してみたいと言って頂けるお客様が徐々に現れたのと同時に、お試し下さったお客様より商品の問題点を多数ご指摘頂きました。
■更に改良点がでてきたんですね。どんな内容だったんですか?
現在のエコクリップ
【1】留め具部の穴が小さいので風船を入れにくい
【2】留め具部分が重いので風船の浮力が弱い
【3】糸が切れやすい
【4】材質(再生紙&綿糸)が環境対応では無い!?
…などなど、頂いた貴重なご意見をもとに早速分析をし、対策を立てました。
【1】サイズ別の穴あけ工具を購入し、1mm刻み違いの寸法で穴を開け、風船を入れやすく、留め具としての強度も保てるサイズを選定しました。
【2】まず驚いたのは、わずか0.1g重くなるだけで風船の浮力に大きな影響が出ることです。風船挿入用の穴同様、はさみでカットしながら浮力が上がって、強度も保てるところまでカットしました。
【3】綿糸の糸を太くしましたが、やはり洋服に多く使用されている化学繊維に比べると弱く切れやすく、しかも、少し重くなるため浮力に影響があり、解決できず・・・最終的には切れにくくて軽い化学繊維へ素材を変えることになりました。
【4】色々な所へ環境に優しいというキャッチでエコクリップの紹介を続けたところ、匿名で『再生紙も綿糸も環境に優しいなんて虚偽広告ですよ!貴方たちは何を持って環境に優しいなんて言ってるんですか?再生紙は新たに紙を作成するよりコストもかかり、熱を発生させ温暖化に繋がるし、綿は世界で一番農薬を使用している農作物で、更に綿を白くする際に漂白剤を使用していて環境に悪影響でしかないですよ!!勉強不足も甚だしい!!』・・・と電話で言われました。
お恥ずかしい話ですが、この方からご指摘頂いたとおり、私達は再生紙も綿糸は環境に良いに違いないと思っているだけでした。これはまずいと思い、当時の環境事業部を通じて再生紙及び綿糸について紙屋さん~雑誌・新聞~インターネットで調査をした結果、再生紙はご指摘通りの内容だけでなく、供給も不安定!綿は世界で一番農薬を使用している作物(※2番はコーヒー豆)ということを改めて認識した上で、この内容を社内で検討しました。
これでは環境対応ではないのでは?と物議も醸しましたが最終的に当社として現実的に利便性もあり、極力環境対応という路線に変更することに決まりました。この判断に辿り着くまでは非常に時間がかかりましたね。結果紙は通常の紙を使用し、糸はシャツなどで使用されている化繊を使用することになりました。化繊を使用することにとまどいがありましたが、化繊にしたことにより糸は切れにくく、軽量化することはできました。
この材質の件で現実的で裏付けある環境対応商品開発の難しさを再認識する出来事でした。
■かなりの紆余曲折を経て、現行のエコクリップが出来上がったのですね!
はい。しかし、形状もデザイン共も可愛くない!とご指摘を受けました(笑)
風船を子供たちに配るための備品なのに、もっとかわいく工夫できないのか?と。
社内で動物の形状が良いのでは?と意見がでまして、色々な動物の形状を試作しました。そのなかで、くまクリップがテディーベアのようで可愛い!!でも1種類じゃぁ面白くないというので、くまの耳形状を活用した動物デザインを複数作成し、そこから現在の5種類が定番となりました。※その後も何度かデザイン修正をしています。
■お客様からのご意見により、現在のどうぶつクリップが生まれたんですね?
どうぶつクリップ
そうです。エコクリップの市場初投入から現在のどうぶつクリップとなり、最終的に市場が受け入れてくれるまで約4年間かかりましたが、風船配布現場でうっかり手を離してしまった子供の泣き声がなくなったのでとても嬉しいです。
商品を永遠に進化させるという考えから、実は今、新たなどうぶつクリップも開発しております。
仕上がりましたら又ご紹介させて頂きますので是非その際は、忌憚ないご意見を下さいますようお願い申し上げます。
■ありがとうございました。どうぶつクリップのさらなる進化に期待しています!
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